婚約指輪のオーダーとリフォーム
婚約指輪の流行
AIMでオーダーを承る婚約指輪には、ダイヤモンドをいくつかセレクトしてご提案しています。
完成したリングと合わせてお渡ししているのがダイヤモンドの評価をした鑑定書で、今回の記事はその内容のご説明にもなっています。
お手持ちの鑑定書があれば、より理解を深めていただけるかと思いますのでご参考になさってください。
ファッションのように移り変わりが早いものではありませんが、ジュエリーにも流行があります。
あるブランドが流行を牽引する場合もあれば、貴金属の価格が高騰したためにできるだけ細く小さく作ったところ、次第に流行になったケースも。
リフォームのご依頼でAIMにお持ち込みになる婚約指輪に多いのが、たて爪でダイヤモンドが一つセットされたシンプルなデザインです。
プラチナはしっかりとした重量で、爪を高く作ることでダイヤモンドを大きく見せる流行のデザインでしたが、現在はあまり作られていないようです。
力強く潔いデザインは時代背景を写すようで、女性の社会進出や日本の成長期と重なって見える気がします。
・たて爪はセーター、ニットに引っかかる
・大きな石のリングは普段使いには向かない
・失くしたり落としたりしないか不安
こうした理由から、最近では実用性を重視して1本のリングで小さめのダイヤモンドがいくつも並べられたデザインのバリエーションを多く目にするようになりました。
これはエタニティリングといって、もとは婚約・結婚指輪とは別に、5年後や10年後の結婚記念日に送るリングとして作られていたデザインです。
使用される石もピンクサファイアやブルーサファイア、ルビーなど様々でしたが、ダイヤモンドが主流になったのは結婚指輪として選ばれる方が増えたからではないかと考えられます。
婚約指輪をおすすめする理由
指輪のデザインで迷っている方には必ず、「婚約指輪」をお作りになることをお勧めしています。
結婚指輪はお二人でお揃いのものを、ともに似合うデザインでお探しになり、エタニティリングはファッションを重視したものを記念日に選ばれても良いと思います。
ただ、一粒ダイヤモンドのセットされた婚約指輪だけは、ご結婚の際ただ一度だけ贈られる限定のジュエリー。
その機会以外には選ぶことのできない存在なのです。
そしてなにより、ダイヤモンドはとても美しく、時が経てもその輝きは全く変わりません。
ご自身の指にぴったり合ったサイズの婚約指輪は、きっとこれからの道のりへの力を与えてくれるはずです。
昨今の婚約指輪のデザインについては、リングの腕の部分に網目模様が施されたもの、メレダイヤ(小さなダイヤ)がセットされたものなど、ファッションとしても各社が高いレベルで競うようになりました。
プラチナ/K18とダイヤモンドというシンプルな素材だからこそ、ここまで究極にデザインされているジュエリーはないのでは、とも思わせます。
大きなダイヤモンドに実用性がないということでしたら、指輪にした後にネックレスにリデザイン・リフォームすることもできます。
そして過去の流行のようなたて爪は大幅に改良され、べセルセッティング(覆輪ふくりん、とも呼ばれます)による滑らかな留め方や角を落とした丸く優しい雰囲気のリングなど、デパートのリングコーナーには毎年新たな顔ぶれが並ぶほどになりました。
ダイヤモンドの選び方
皆さまはダイヤモンドにどのようなイメージをお持ちでしょうか。
硬い、透明、価格が高い、キラキラ輝く宝石…
実はダイヤモンドの総産出量のうち、ジュエリーの素材になるのはわずか20%だけで、大部分は工業用として使用されています。
私たちがアトリエで鏨(たがね)という道具の手入れに使用するのは、ダイヤモンドの吹き付けられた金属やすりやダイヤモンドペーストという研磨剤ですし、紙やすりにもダイヤモンドペーパーというものが存在します。
こうした道具はダイヤモンドが使われているからといってジュエリーのように高級なわけではありません。
ではなぜジュエリーになるダイヤモンドは高額なのかというと、その希少性と生産工程、流通経路が関係しています。
近代になって、宝飾品となるダイヤモンドを評価するために定められた4つの基準(頭文字をとって4Cと呼ばれます)により、その価値が購入者にも大変わかりやすくなりました。
[Cut]
ダイヤモンドの最終的な価値および美しさを決定する工程。
光・輝きを最大限に放つ研磨技術が要求されます。
婚約指輪に一般的なのはラウンドブリリアントカットで、厳密にカットの形状が定められています。
スクエアの形状はエメラルドカット、ハートやしずく型のカットも存在します。
[Color]
米国宝石学会(GIA)が定めた、Dから始まるカラーグレーディングシステム。
D、E、F、のようにアルファベットで表記されます。
肉眼で判別することは困難なので、鑑別機器を使用します。
[Carat]
宝石の重さの単位で、1カラット=200mg。ダイヤモンド以外の宝石にも使われます。
ダイヤモンドのラウンドブリリアントカットなら、カラットがわかればだいたいの直径がわかるようになっています。
[Clarity]
クラリティとは透明度のことです。
ブレミッシュ(外部の特徴)とインクルージョン(内包物)の程度を表す評価です。
ダイヤモンドは天然石ですので、全てが水のように透明なわけではありません。
カラットの大きな石には特に、よく見ると中のほうに黒い点のようなものや霞がかったもやのようなものが確認できる場合がありますが、これがインクルージョンです。
肉眼で見えるかどうかを境に、ルーペで見てやっと確認できるインクルージョン、などの基準によってアルファベットや数値で表します。
美しいカットで色は空気や水のように無色、形は大きく黒い点や傷、霞は見当たらない…
そんな4Cすべての高評価を完璧に満たすダイヤモンドがどれだけ希少なものか、少しお分かりいただけたでしょうか。
この4Cにはジュエリーにしたときにあまり現実的でない内容も含まれています。
ディナーやパーティーの際に手元のリングのダイヤモンドをルーペで見る人はいませんし、照明や太陽光でも石は違った色や表情をみせるはずです。
また、世界でダイヤモンドを多く産出する土地は限られています。
原石を採掘している現場から、宝飾品になるものが分けられ、カットが施され、輸入の工程を経てやっと制作者の手元にやってきます。
AIMでセレクトするダイヤモンド
私がダイヤモンドを見るときに基準にしているのは、ジュエリーに仕上げたときに美しく見えるかどうかです。
また、宝石は爪で留める際に金属の道具によって多少の負荷がかかります。
インクルージョンの入り方が制作時・使用時の耐久性に問題なく、ダイヤモンドが金属部分のデザインを引き立てることができれば、ルーぺで見なければわからないようなインクルージョンは問題にはならないと考えています。
ダイヤモンドに関する基準や考え方はジュエリーメーカーやブランドによって異なります。
それに伴って価格の差も大幅についています。
目の前にあるリングが魅力的なジュエリーかどうかは、4Cのようなダイヤモンドの基準やブランドには決められないものです。
ご自身でお探しの場合は、いくつか生産・企画国やテイストの違うブランドのショップへ足を運び、ご自身に合う基準を見つけていただくのが婚約指輪選びの近道になることと思います。
AIMにはブランドのカタログとともにご相談に来られる方もいらっしゃいます。
価格、作り、デザイン、ダイヤモンドのこと…
制作側のアドバイスができる場合もありますので、どうぞ遠慮なくお問い合わせください。
ご納得の行く選択ができるよう、尽力させていただきます。
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