AIM 【AIM】は、結婚指輪・婚約指輪をはじめとするオーダーメイドジュエリーを制作するアトリエです。譲り受けた大切なリングのリフォームや記念日のジュエリーをデザイナーと職人が1点ずつ丁寧に仕立てるハンドメイド。石のセッティングやデザインにこだわったフルオーダーはもちろん、アトリエオリジナルのジュエリーよりアレンジも可能です。

ジュエリーのリフォームとは

金が高い!という事実

今年に入って金(GOLD)の価格が上昇していることはニュースでも報じられていますが、ジュエリー制作の現場にいる私たちにとっても大きな衝撃になっています。

製造業にとって要の材料費が高騰すると、販売価格を上げるか、材料を節約するかのどちらかの選択を迫られます。

現に飲食業の方々や、農業や酪農に関わる多くの方の悲鳴は皆さまもご存知のとおりだと思います。

生産者の方にとって肥料や餌代がかさむからと言って使用しないというわけにはいきませんので、日々スーパーの陳列棚を見て、結果的に上昇した販売価格に従わざるを得ないのが消費者のつらいところです。

とはいえ、こうした流れが国内の生産者の数を減らすことにならないでほしいとも願うところです。

 

ジュエリーの制作をする際、実はもう一つの選択肢がありますが、そのことを「知ってはいても利用したことはない」という方がほとんどだと思います。

それはお手持ちのジュエリーを再利用する(=リ・ジュエリー)という方法で、私は地球環境にとっても究極のエコではないかと考えています。

 

リフォームジュエリーで新たなジュエリーを

ファインジュエリーの価値は、今も昔もとても高額なものです。

デザインや制作の機械化が進んだとはいえ、どの段階であっても人の目とアイデアが仕上がりの良し悪しを決めるため、大変な手間と時間がかかること、専門の技術が必要になることに加えて貴金属である金やプラチナ、ダイヤモンドをはじめとする宝石類も多く使用しています。

そうした背景を踏まえたうえで、意匠(デザイン)や思想(雰囲気)に共感した人々が手にしてきたジュエリーですが、現代においてそんな限られた人々だけに許された娯楽…というジャンルではないはずです。

私たちの作るジュエリーは、もう少しカジュアルに、もっと多くの方に身に着けて楽しんでいただければと考えています。

 

リ・ジュエリーとは、リフォームをはじめとする以下のような「リ」のつくジュエリーのことです。

・リペア‐石取れや切れたチェーンの修理

・リフレッシュ‐リングやネックレスの磨き直しなど

・リフォーム‐同じ素材を用いて形を変えて新たによみがえらせること

 

この中で、全く新しいデザインにできるのがリフォームです。

貴金属のリフォームは衣類のリフォームと違って、地金を火で溶かしたり、磨きなおして新品のように美しくすることも、留めてある石を取り外して別の石にすることもできるのが特徴で、どんなものにするべきかという決まりはありません。

例えばリングなら、持ち込まれたのが傷だらけのリングであっても、同じ地金を見違えるように美しくよみがえらせることができます。地金を新たに購入する必要がない分原材料費が節約でき、なおかつオーダーメイドと同じクオリティのジュエリーを作ることができるので、イメージはあるものの予算が見合わないという方におすすめしています。

 

ダイヤが取れてしまった婚約指輪

[持ち込まれたリング] 手彫りの模様の中央にダイヤが留められていた

AIMに持ち込まれるリフォーム前のジュエリーの中には、作り手の技術やスタンスを疑うようなものも時折目にします。

これがファッションなら「安かったから仕方ない」ということになるかもしれませんが、ジュエリーは原価がかかるので制作するアトリエによって差はあるものの一定以上の金額になります。

 

今回ご紹介する婚約指輪も、きっとご依頼主の方はしばらく残念な思いで過ごされていたのではないかと思いました。

そもそもオーダーメイドで作ったのに、仕上がりに満足されただろうか、ということも気になりました。

 

私たちは、「このリングが最初にお客様の手に渡った時よりずっと、喜んでもらえるように」と考えて制作に取り組みました。

 

留まっていた石が取れる原因はいくつか考えられますが、今回は石の高さに対して開けられた穴が浅すぎました。

リングの厚みだけでは同程度の大きさのダイヤは留められないことから、石座のみ新たに作り、リング本体はシンプルな形状を生かして石座をロウ付けすることにしました。

デザインアクセントに石座のみK18ゴールドで、日ごろから気兼ねなく着用したいとのご要望だったため、留め方はセーターなどに引っかからないベゼルセッティング(ダイヤの円周に地金をかぶせて留める手法)をご提案しました。

また、元の模様にはお二人の思い出がこめられているそうで、その部分を再現しつつ小さな穴の箇所にはメレダイヤを彫留めで入れることで完成予想図ができあがりました。

 

 

ジュエリー制作の工程

 

左の写真が制作工程です。

 

・まずは大きく空いた穴にプラチナを溶かして入れ

・傷だらけのリングの傷を取り除き

・リングの内側も磨いて(石のサイズが変わるため刻印も新たに打ち直します)

・今一度リングのサイズを整えて

・新品のような輝きに!

 

プラチナの輝きだけでもうっとりしてしまいますが、石座を制作し、彫り模様を入れて、ダイヤを留める工程が続きます。

 

 

 

最後に内側の刻印を打って、完成です。

新たにリング部分を作っていないため時間も手間も大幅に短縮になりました。

こちらでご用意したのは石座と、ダイヤのみです。

 

ジュエリーのリフォームと一言にいっても、目的は様々です。

「貴金属は高額である」という情報ばかりが独り歩きして、ジュエリーにまつわる楽しみや喜びを知っていただけないことはとても残念なことです。

 

そういえば長いこと直していないジュエリーがあった、デザインが古くなってつけるのが恥ずかしい…といったお話がございましたら、どうぞご相談ください。

構造上、直せないもの・美しくならないもの(磨けないものなど)もございますが、それぞれご説明させていただきます。

そして時間の許す限り、何時間でもお付き合いいたします。

 

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